熱心にジムに通ったり、自宅で殿筋(お尻の筋肉)や体幹のトレーニングを続けているのに、なかなか効果が出ない、姿勢が改善しない…。
それは、筋肉そのものに問題があるのではなく、「脳からの指令」にエラーが起きているのかもしれません。
特に高齢者の方に見られやすい、小脳の機能低下と感覚器の関係について解説します。
体を動かすとき、脳は主に以下のステップで筋肉に指令を送ります。
感覚器(足裏など)が情報を収集
小脳がその情報を処理・修正(エラーチェック)
筋肉へ正確な動作の指令を発信
高齢になると、長年の生活習慣や足裏の感覚の鈍化により、小脳に送られる情報が不正確になったり、小脳自体の情報処理能力が低下したりします。これが**「小脳エラー」**です。
小脳エラーが起きると、以下のような悪循環に陥ります。
「お尻の筋肉を使え」という指令が、脳から正確に伝わらない。
体幹を安定させようとしても、どこに力を入れればいいか脳が把握できない。
その結果、いくら一生懸命トレーニングをしても、指令自体にエラーがあるため、狙った筋肉が適切に働かず、効果が頭打ちになってしまうのです。
当院が「メトリクスフォーム」での足裏刺激エクササイズを推奨するのは、この小脳エラーの根本にアプローチするためです。
メトリクスフォームの適度な不安定さと高反発の特性を活かし、以下の効果を狙います。
足裏受容器(センサー)の強制的な活性化:
通常の硬い床とは違う、メトリクスフォームの複雑な圧力が、長年鈍っていた足裏の感覚器を強く刺激します。これにより、小脳への情報入力が高精度化します。
小脳の「エラー修正機能」の再調整:
片足で立ち、足の上下左右の運動(刺激)を意図的に行うことで、小脳は「今、体がどのように傾き、筋肉がどう働いているか」という質の高いフィードバックを大量に受け取ります。
この「感覚の再教育」により、小脳が体の情報を正確に処理し直す(エラーを修正する)機会が生まれ、筋肉への指令が正確になることが期待されます。
トレーニング効果の向上:
小脳からの指令が正確になれば、スクワットや体幹トレーニングの際に、**狙った殿筋や体幹のインナーマッスルを適切に「使える」**ようになります。
メトリクスフォームのエクササイズは、トレーニング前の「ウォーミングアップ」、または**日常的な「神経系の調整」**として極めて有効です。
いくら良いエンジン(筋肉)があっても、ナビゲーションシステム(小脳)にエラーがあっては目的地(理想の姿勢)にはたどり着けません。メトリクスフォームで足裏から脳に働きかけ、あなたのトレーニング効果を最大限に引き出しましょう。
【メトリクスフォーム活用エクササイズの概要】
メトリクスフォームの上に片足で立ち、浮かせた足で空中にゆっくりと文字や図形を描きます。不安定な状況で足裏の感覚器を刺激し、小脳に集中的に情報を入力します。 詳細な手順と安全な行い方は、当院の指導を受けてください。